俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


あぁ、アイツの名前をちゃんと言うなんて気持ち悪い。


でも神崎拓真のキャラ的に、水無月祈織の前で“コイツ”というのは少々まずいだろう。


アイツはそれに反応してか、「はへ?」とか変な声を出したが、かまってる状況じゃない。


「実は普段はバレないようこの恰好をしていて。実來は俺の正体を知ってしまったんですが秘密にしてくれているんですよ。本当は今も正体を明かすべきではないんですが、水無月さんだったので。」


“秘密にしてくれてる”なんて真っ赤なウソ。

こんなウソをついたから、今にもじんましんが出てきそうだ。


「そうだったのか。いやぁ、びっくりしたよ。」


苦笑いを浮かべながら、後頭部を掻きこう続ける。


「あっ、俺もちゃんと秘密は守るから心配しないで。」


クールに先輩らしくそういうことを言うところが、すごくムカつく。


「それにしても俺も実來ちゃんちで会うとは思わなかったな。改めてよろしくね。」

「……よろしくお願いします。」


俺は渋々、握手した。


本当に、水無月祈織はコイツの何なんだろうと思いながら……。



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