オトナとコドモの境界線
01.「今日もお疲れさんです」




──はらはらと舞い散る桜の花びら。


──そよそよとそよぐ心地いい風。


──ぽかぽかの暖か陽気。




大学の入学式としちゃかなり良い日和だ。うちの大学の名前が“桜里(さくらざと)大学”だから尚更出来すぎてる。


入学生からしたら嬉しいだろうな、入学式がこんなに良い天気なんだから。
これで雨なんか降ってりゃ幸先悪い気するし。


だが、入学式なんか興味ない俺みたいな出来の悪いヤツはこの日和はマジで勘弁してほしいと思う。

興味もない入学式なんかに“先生”だからって参加しなきゃあなんねぇし。

こんなに天気が良いと、窓から良い感じに日が差し込んできてついつい眠りこんでしまう。
んで、お堅い生物学の谷岡…先生に怒られるっつーのが毎年俺の入学式の恒例になっている。



毎年恒例と言えばこの尋常じゃない量の桜の木で出来たうちの大学まで続く桜並木。
何でもうちの大学の創始者が大学の名に恥じない様な並木道を作りたい、って作ったのがこの桜並木らしい。

……つーか大学の名に恥じない様にってわざわざこんなん作るなら、違う名前つけりゃ良かったんじゃないのか?


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