未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

どうしてこうなったかと言えば。

それはリカが、昼休みに愛しのナカジーの話を熱く語っていたところへ、隣で机に突っ伏し寝ていた吉井が急に食らいついてきたことから始まったんだ。


「一目惚れってマジ?」


ガバっと顔を上げて吉井が言った。

リカは、そ。と短く言ってから、ナカジーに恋をした瞬間の話を始める。

それは、あたしが何度も聞かされた話。

リカが語りだすと長くなるんだけど、まあ簡潔に説明をすると──入学式の真っ最中に隣のクラスの男子に一目惚れをした相手がナカジーこと中島で、ナカジーが入部したからリカもテニス部に入った、というわけ。

かなり短縮しちゃうとだけど。


「一目惚れって、マジありえなくね?」

「ありえなくないの! ほら、心理学の講師だって言ってた話でしょ? 一目惚れっていうのは、」


そこまで言いかけたリカがクルリと体ごとこっちに向けた。


「そうだ! 湊、心理学といえばレポートは出来たの?」

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