未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*hand in hand



見知らぬ駅へ降り立ち、知らない町へ来たあたし達。

そこであたしは、辻之内に誘導されるまま、意味のわかんないことをさっきからしてる。

最初のポストを見つけた時、辻之内はあたしに一枚の封筒を手渡した。
そこにはきちんと切手が貼られてあって、宛名まで書いてある。


「あと何通あるの?」

「うーんとね……5かな」


そう言って、また一通の薄い封筒を取りだす。


「えー! 5通もあるの!?」


全部の宛名が同じだけど、それはまったく知らない住所で、今いるこの町でもなくあたし達の地元でもない。

他県の住所のあとに見知らぬビル名──でも宛名は “時田 湊” って、あたしの名前になってる。

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