未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
立ち尽くし困っていると、急にキョトン顔になった辻之内は、あたしの顔をまじまじと見て。
「あれ?」
「…な、なに?」
じーって視線が──っていうか顔が近いよ。しかもこんな街中で通行人は少ないけど……でも、やっぱり近いよっっ!
「時田?」
「だからなにっ?」
「もしかして、また熱あるの?」
「ねつ……?」
またも頭んなかに“?”が並びそうになったけど、次の瞬間、目の前のにんまり顔を見た途端に吹っ飛んだ。
「熱なんてないからっ!」
そう言いながら立ちあがったあたしの前に立って、悪びれる様子もなくまた繰り返す彼。
「でも、ありそうだよ?」
「だからそれはっ─」
「真っ赤になってるから俺はてっきり─」
「もうーっ!
またそうやってからかうんだから!」
ホント、いい加減にしてほしい。
だけど、こんなにあたしは声を荒くしてるというのに
「だから、からかってんじゃなくて時田が可愛いからだよ」
なんて、そんなセリフをサラッと言っちゃうんだよね。