未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
多分あたし達を載せたゴンドラが、もうちょっとで頂上へ到達する地点にいたんだと思う。
先に到達して降下していく、その一台が視界に映った。
あたし達のゴンドラの何台か先、誰なのかはもちろん知らない。見知らぬ一組のカップルが横に並んで座ってる。
──と思ったら……見つめ合い、肩に手を置いて、距離が近づいて──
チュッ!って。
いや、いやっ!!
ブチューー!!って。
エラいもん見ちゃったなーって視線を泳がせたその時。
「どうしたの?」
恐らく、ただならぬ様子だったあたしに辻之内が気づいてしまったんだ。
「え。
……い、いやぁ……そのぉ、」
そして、あたしの視線に気づいた辻之内は、なに?って席を移動してきた。
「な、なんでもないってば!」
明らかにキョドキョドでごまかしたけど、すでに遅し。辻之内の視線は、さっきのゴンドラを捕らえていた。
やっぱり観覧車の速度ってトロ過ぎだよね。
でも高速回転だったら、即死ってとこか……。