未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「湊ちゃ~ん!!」


あたしに気づいたエロ男、いや吉井が近づいてきた。



「湊ちゃんってば、どうしたの? そんなカッターイ顔しちゃって」


「……吉井は、どうしてそんなにいっつもヤラしい顔してんのよ?」


「なんでいきなりフキゲン? そんでヤラしい顔ってなんで?

……あっ そっか。湊ちゃん、ナントカ発表会の代表選手だっけ? だから、そんなおカタ~イ顔しちゃってるわけだ」



おカタイ顔って、こっちの身にもなってよっ

緊張してんだってばーっ。


それに代表選手って、なによそれ?



「そうだ湊ちゃんっ」


そう言った吉井が、いつものように気安くあたしの肩を抱く。


ピタっと寄り添って、耳もとで妖しく囁く。



「緊張してんなら、俺が本番前にほぐしてあげよっか? 心もついでに体のすみずみも。

まずは体からってことでー、どっか場所変えてどお???」


顔を横に向けると、予想以上に近い場所に目があって。


「……いいよ、吉井。あたしのこと連れだしてよ?」


一瞬キョトンとしたエロ男。


でも次の瞬間ニンマリとして


「どこにする!? 理科室はどお? あそこって案外いっつも人こないよ」


って、“いっつも”っておいっ なんで知ってんのよ、そんなこと。
< 318 / 406 >

この作品をシェア

pagetop