未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「あれっ 時田、忘れ物ー?」
教室へ飛び込んだあたしの姿を見て、クラスメイトの誰かが言った。
中を見渡す。
(いない……
さっきは1階を歩いてたけど。
どこに行ったんだろ?)
「湊、どうしたの?」
肩で息をしてるあたしの前にリカが立った。
「リカッ、辻之内知らないっ!?」
「辻之内…?」
無意識のうちにあたしは、その名前を叫ぶような声で言っていて。
それを聞いた一部の女子達がコソコソと話しだす。
輪の中心にいるのは、きっと今井さん。
見なくてもわかる。
でもそんなの、いまは気にならない。