未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*


「あれっ 時田、忘れ物ー?」



教室へ飛び込んだあたしの姿を見て、クラスメイトの誰かが言った。


中を見渡す。


(いない……
 さっきは1階を歩いてたけど。
 どこに行ったんだろ?)



「湊、どうしたの?」


肩で息をしてるあたしの前にリカが立った。


「リカッ、辻之内知らないっ!?」


「辻之内…?」



無意識のうちにあたしは、その名前を叫ぶような声で言っていて。


それを聞いた一部の女子達がコソコソと話しだす。


輪の中心にいるのは、きっと今井さん。

見なくてもわかる。


でもそんなの、いまは気にならない。
< 327 / 406 >

この作品をシェア

pagetop