未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*カノジョの嫉妬





もうどれくらいこうしているだろう……。



さっさと帰ればいいのに。

何時間も見知らぬ街をただブラブラ。



辻之内はもう帰ったのかな……?



そんな思いがまた擡げて、ふるふると首を振る。


なにをいまさら期待してるんだろ。


偶然にいま会ったとしても、辻之内の隣には“カノジョ”がいるのに……。




ショーウィンドウに映った自分の顔がひどく情けなく見えて、余計に惨めな気持ちになった。


太陽がある場所はどんどん動いて、もうじき夕方。


いい加減にして帰らないとね。


もう駅に行かなきゃ ――




―― 視線を外そうとしたウィンドウのガラスをよく見る。



あれっ?



あたしの後ろ、道路に横づけしてる1台の車……



あれって、もしかして



見覚えがあるぞ?
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