未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「どうかした?」
「え? ううん、なんでもないの………ねぇ辻之内、それで聴き手の気持ちは推測できたの?」
「それって俺が、時田の心の中をのぞけたかってこと?
まさか。本を読んで頭に入ってることを言っただけ。心理学をちゃんと学んだわけじゃないから、そんな技は持ちあわせてないよ」
「そ、そうだよねー」
ドキドキしたり焦ったり、なんだか心臓疲れるぅ……。
と脱力しかけたところに
「それから、座っている時のつま先が向いてる方向を見てわかることもあるんだ」
「えっまだあるの?」
思わず身構えた。
「自分が行きたい方向へ自然と向くんだって。つまり、嫌いな相手といる時は一緒にいたくないから、部屋の出口の方へ。反対に好きな相手といる時は、もっと寄り添いたくてそっちへ向く」
「つま先?」
「そう。足が自然と」
そう言って机の下に視線を移そうとするから、あたしは慌てて自分の足を引っ込めた。