My Romeo & Your Juliet 【完】
あっという間に、最後の練習が終わる。

みんなが帰った後も体育館に残るあたし。

明日は、ちゃんと上手くできるだろうか。

不安で押しつぶされそうだ…



あたしは照明が消されたステージに上がる。

台本を握ったまま、その場に座りこんだ。



ガタッ…

ステージ裏から聞こえる不審な物音。

あたしは立ち上がって、音がした方向へ歩く。



「岡崎先輩…」

薄暗い舞台袖で大道具を動かしている先輩の姿。

台本も演出も、
そして演技に使う道具も…

全部、岡崎先輩が中心になってやってきた。



「まだ、いたの…?」

岡崎先輩は、立ち止まってるあたしを見上げる。

「先輩、あたし…」

静まりかえった体育館にいるせいか、明日の本番が怖いのか…

どうしても弱気になってしまう自分がいる。



「どうした…?」

今、一番大変なのは岡崎先輩だ。

先輩に心配をかけるようなことは言えない。

「いえ…」

ただなんとなく岡崎先輩と話していたい。

それだけでも、少し安心できそうだ。

あたしは何を言ったらいいのかわからなくて、黙ってうつむいた。
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