My Romeo & Your Juliet 【完】
「意外と爽やかな名前だな」

振り返ると、
あたしを無理矢理スカウトした先輩が立っている。

「ちなみに、俺は岡崎悠斗(オカザキ ユウト)。いちお部長だから、よろしく」



「俺は松下敬太(マツシタ ケイタ)です。みんな辞めちゃって部員二人しかいないんだけど、よろしくね」

相変わらず無愛想な岡崎部長の隣に、爽やか笑顔の松下先輩。

「君も演劇部入ってくれるの?」

松下先輩があたしの後ろにいた美優に視線を送る。



『あたしの代わりに上手く断って』と祈ってたんだけど…

「はい、武内美優(タケウチ ミユ)です。よろしくお願いします!」

まさかの即答。



慌てて美優に駆けよるあたし。

「…美優、演劇部入るの?」

「いいじゃん。先輩、カッコイイし。一緒に頑張ろうよ!」

すっかり目がハートマークになってる美優。

美優を連れてきたあたしが馬鹿だった…



「それじゃ、発声練習からな」

「は~い!」

「美優、ちょっと待ってよ…」

やる気満々で岡崎部長についていく美優を追いかけるあたし。

こんなはずじゃなかったのに…

こうして、
あたしの演劇部生活が幕を開けてしまった。
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