遠い坂道
嫌な女教師。
そう彼は思っただろう。
何も言わずに相談コーナー通いを続けさせてやるのが、一番平穏で良かっただろうが、教師とは嫌な奴であるべきだという恩師の教えが私の体には染みついている。
教室へ行かなくても別にこれから先の人生で困ることはないかもしれない。
だが、ここで頑張らずに逃げてしまえば、これから先の人生に待ち受ける波を押し返せず……また逃げることを繰り返してしまう可能性だってあるのだ。
恩師の泣き顔が浮かぶ。
後悔と申し訳なさに顔を歪ませていた彼。
それは、多感な中学生であった私の冷えた心に確かな温かさを与えた。
私は室内の淀んだ空気を払拭するため、窓を開けた。芽吹きの風が一陣、私の頬を掠めた。