悪魔なキミと愛契約


「フランさんとチヅルさんだよ。
2人は、共に一緒にいたいと思っていても、たかが人間と悪魔ってだけでそれを許されなかった。
それがどんなに辛いことなのか……ルカ、おまえならわかるはずだ」


「………」


「私、思ったんだ。
フランさんが、世継ぎにヘイリではなくおまえを選んだ理由。
きっと、おまえには“心”があるからだって」


「こころだと?」


「人を想う心だよ」


私が言うと、ルカの眉が微かだけどピクリと動いた。


シキはルカの横顔を見ている。


「私、見せてもらったんだ。
おまえが小さい頃のアルバムを。おまえ、凄く幸せそうに笑ってたじゃないか。
正直、ビックリしたよ。
あんな顔して笑えるんだなって、感動もした。
愛しい母親に抱かれ、おまえは本当に幸せそうだった。
チヅルさんだって同じだ。愛しいおまえを抱いて、とても幸せそうだった。
だから、またあんな風に笑ってもらいたいって、あの“幸せ”を取り戻したいって思ったんだ。
ヘイリにも、その“心”をわかってほしいんだよ。

だから…確かに怖いけど、私は逃げない」


私は2人を見て微笑んだ。


自分の気持ちはまだ半分くらいしか伝えきれてないと思うけど。

でも……

これが、今の思いだから。



「サラ様……
そのアルバムは、誰から見せてもらったのですか?」





< 171 / 317 >

この作品をシェア

pagetop