Someday never comes...
何かあってからじゃ遅いんだからね。
そう念を押されてからひーくんと別れて、歩いて10分の施設に帰る。
「…ただいま」
誰にも届かないような小さい声で呟く。
今日は1日で色んなことがありすぎて疲れた。
大分古びたこの施設はいくら静かに歩いても、ギシギシと軋む音がする。
なんか今の私の心みたい、なんてちょっと思ってみたり。
奥からは今日の夕飯なのだろうか、カレーの香りが鼻をくすぐった。
「佐和さん」
「あら、おかえりなさい」
そのまま真っ直ぐ調理場まで行くと、佐和さんが、やっぱりカレーを作っていた。
佐和さんは少し白髪交じりの髪になってきたけれど、優しいまなざしは昔からずっと変わらないとてもいい人。
私が、ここに来たときにはすでに働いていたから相当長いんだと思う。