山田さん的非日常生活


「……は?」


思わずおにぎりを落としそうになった。

─何を言うんだこの男は。


あんぐりと口を開けたままのあたしを置いてけぼりにして、カボは何でもないようにまたおにぎりを口に運ぶ。

さっきにこにこマートがなんで好きかって聞いた時は照れたくせに、こんなセリフはサラリと言ってのけるから…全く彼の羞恥ポイントがわからない。


「…手作りなんて、ノリがパリッとしてないじゃない」

「いいんです!」

「それに、あたし三角じゃなくて丸いのしか作れないし」

「問題なしです!!」


瞳を輝かせたまま、意気込んで答えるカボ。

…まるで犬みたいだ。チワワとかそんな可愛らしいのじゃなくて…ゴールデンとか、そっち系の。


「山田さんが作ってくれるなら、ベチョってしてても、丸くても大歓迎ですから!」


…その前に、あんたに手作りしてやる義理はない。義理も情けも微塵もない。

出来損ないのおにぎりを歓迎する前に、その事実に気づいてほしいのですが。


「いっそ潰れてても、具がはみ出てても、丸められてなくてもいいです!」


…そこまでひどくねえよ。

ってゆーか、丸めてなかったらただの米ですけど。

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