『想いのカタチ』 (短編小説)

“またな”と言い残して武田は部屋を出ていった。益々 謎が深まる一方で、武田の言葉を夢と重ね合わせる。勿論 頭の中はメチャクチャだ。ふと開いたケータイには4人が笑って写っている。ずっと一緒だと思っていたのに…こんな風になるなんて思いもしなかった。頭を掻きむしきりながら天井を見上げた。憂鬱な胸を掠めるものは、“この夢は自分にとって物凄く大切なものだったのかもしれない”という事だ。嘗てはとても強く刻まれていた筈なのに、どうしてこんなにも薄れてしまったのだろう。闇に包まれた部屋で、1人溜め息をついた。

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