いつかの花。

雷鳴


 地元の駅に着いたときには、外はもうすでに雲行きが怪しいどころじゃなくなっていた。



「うっわー、降ってきた……。最悪」



 改札を抜け、トコトコと歩き、どしゃ降りの雨を目の前にして、私は立ち止まった。

 雨だけではなく、風も強いから傘をさせるかどうかもなかなか怪しい。



 一体私が何したっていうのよー。

 天気のバカー。



 天気というのは人ではないから、言葉の使い方が間違っているような気もしたけれど、今さら気になんかしていられない。



 この雨じゃ、傘って意味なかったりして……。

 折りたたみだと壊れやすいし。

 壊れたらもったいないなぁ……。

 今月もうお金ないのに。

 ていうかまり子に借金してるのに。



 嫌な予感がしたものの、覚悟を決めて、一応傘をさして、雨の中へと飛び込んでいった。








 嫌な予感というものは、これまた嫌なことに、ドンピシャリと当たってしまうものだった。



「あー、もー、やだー!!」

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