キミだけをずっと
「愛美、要らないものはダンボールに入れなさいよ!」
「はーい」
二階の自分の部屋で荷物の整理をしていた。
学校の教科書とか本とか、次々とダンボールに入れていく。
「荷物まとめたか?」
5歳離れた兄の悠真が私の部屋に入ってきた。
「母さんがもう行くよってさ!」
「分かった」
この家から遠い遠いところに引っ越すのは分かっていた。
階段を下りて玄関から出ると、そこには大樹が立っていた。
「大樹・・・元気でね!」
「遠くにいても友達だから!!」
うん!と言って手を振り、車に乗り込む。
さよならなんて言えなかった。
だって本当のさよならじゃないもん。
またいつか・・・会えるよね?