恋するホイッスル☆~サッカー少年へ~

そういえば、宿題佐野くんに渡したまんまだ。

武下先生の授業は数学なんだよね。
まだ、写し終わらないのかな?

そわそわしていたら、隣から私の宿題が回ってきた。


「ありがとう」

「い、いや」


「小春って、天然でもそんな笑顔見せちゃダメでしょ」

はぁ、と後ろの様子を見ていた翔子は一抹の不安を覚えた。



「あ、」

ファイルに小さなピンクのメモ紙が付いてた。



『サンキュー。めっちゃ助かった。佐野』



たったそれだけ。
なのにそれだけが、私の胸をギュウーッと締め付ける。

嬉しいんだか、幸せなんだか分かんない。

でも、一つだけ言えることは、この胸の締め付けが嫌ではないこと。
むしろ、もっと感じていたくなる。


私はそのメモ紙を大切に、綺麗に胸のポケットに入れてる生徒手帳の裏側の透明な部分に入れた。

そして、またそっと胸のポケットにそれを入れた。


そこから、また、体が温かくなった気がした。


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