並んだ影は・・・。

 春・・・

 私は、高校生になった。
 肩まで伸びた、ストレートの黒髪に、赤茶のメッシュ。耳に光る二つの
ピアス。大きな切れ目に、派手めのメイク。そして、たるんだ制服。
 すれ違う人が、みんな私を見ていた。
 
 高校生活初日、私はみんなに目をつけられた。1つ上の先輩方は、珍しそうに私を上から下まで、じろじろと見た。

 【ダンっ】

 「痛ッ」

 誰かが私にぶつかった。ただでさえ、周りの反応に腹がたっているのに、こんな事をされたら・・・
 私の怒りはピークに達した。
 
 「ちょっと!!!」

 「あぁ?」


 ねぇ、捺斗覚えてる?
 このとき、捺斗との出会いは、かっこいい出会い方じゃなかったよね?でも、私は、「市原 捺斗」と言う人に、惚れたんだ。
 捺斗は、この時から一人ぼっちのあたしに、優しい光をくれたよね?


 「痛いんだけど!!!」
 「は?」
 「だ・か・ら、痛いんだってば!!!」
 「てめえ、誰に向かってものきいてんの?」
 「はっ?」
 「なめんなよ、ちび猫。」

 クシャリと笑った彼は、私の頭の上に手を置いて、「俺的には白いメッシュの方が好き」と言って、歩いていった。

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