はんぶんこ
はんぶんこ
学校帰り、いつもの様にコンビニに立ちより、雑誌コーナーをチェック。

そんな俺と繋いだ手を離して、一目散にお菓子コーナーに向かっていく彼女。

どうせまた、最近お気に入りの“チョコチップクッキー”を買うに決まってる。

なのに、君は毎回お菓子コーナーでどれにしようかと悩むんだ。俺が週刊誌を読むより遥かに長い時間迷っている。

そしてきっと、年齢より少し幼い笑顔で、お気に入りを掴んで“これにする。”って俺に見せてくる。

そんな君が、可愛くて凄く好きなんだけど…図に乗るから、言ってあげない。



「どれにすんの?」

「うーん…」


案の定、まだ迷っていた。ほんとに何でも一生懸命なんだよな。


「これかぁ、これ?」

「俺に聞くなよ!俺はプリンにしよ。」


新商品のお菓子を両手に掴んで見せてきた彼女に笑って、俺はデザート棚に移動した。

後ろで“もぉっ!”って声が聞こえたから、君の頬は膨れているに違いない。


「あ、決まった?」

「これにしたぁ。」


俺がカゴにプリンを二つ入れた時、彼女が隣で笑った。


「やっぱり。」

「ん?」


笑って言った俺に、不思議そうに首を傾げた君が見せてきたのは、俺の予想を裏切る事なく“チョコチップクッキー”だった。


「や、何でもない。じゃ、帰ろっか?」

「うん?変なの。」


不思議がる彼女はそのままに、カゴをレジに運び会計を済ませる。

渡された袋を左手に持ち、何故か再びお菓子コーナーに移動している彼女に声をかける。


「帰るぞー?」

「はーい。」


駆け寄ってきた彼女は俺が差し出した右手を握って言った。


「今度はあっちの新商品にする!」

「そっ。」


だけど、きっとまた“チョコチップクッキー”にするに決まってる。
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