始まりと終わりの間
「お前の事だ"助手席には絶対に座らない"って言うだろ?!」

ええ!座るつもりは全くありません!
何なのよ!アタシの出掛ける邪魔して!

隆也が運転席に乗り、車を走らせた。

「どこに行くのよ?」

「まだ考え中」

「考えてるくらいなら家に帰してよ!」

「梓は行く所があったのか?」

「あ…あったよ。コンビニと本屋に」

特に用事がある訳じゃないのに、思いついた場所を言った。

「急ぎじゃねぇんだろ?それとも俺が一緒じゃマズイのか?」

何言ってんの?隆也の方がマズイんじゃないの?!

イライラしながらタバコに火を点けた。

お互い会話もなく、ただBGMが流れるだけだった。

こんな楽しくないドライブに行くくらいなら、彼女とイチャイチャしてたらいいじゃん!

どっちにも"いい顔"して疲れないんだろうか?

ま、いいや。
アタシが付き合ってるワケじゃないし、隆也がどうなろうと関係無い。

「梓…」

隆也が呼んだ。

「何よ?」

ぶっきらぼうに答える。

「小物入れにあったピアスどうしたんだ?」

「取ったよ」

「それから?」

「捨てた。それが?」

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