始まりと終わりの間
返事する気にもならなかった。

「誰から?」

隆也は携帯を取り、その一行を読み終えると、ピッピッと何かを打って送信してしまった。

「隆也、何で勝手に!」

送信した内容を読んでみる。

『俺が彼氏で悪いのか?!近づくな!』

本当の彼氏じゃないけど、ちょっと嬉しい…
いや、かなり嬉しかった。

「ところで…どうして、こんな事になったんだ?」

隆也が3本目のビールを飲みながら聞いた。

隆也って酔ってくると説教くさくなるんだよなぁ…
そこが面倒くさいんだけど…

携帯を持つアタシの手を急に握って

「お前のこの爪…ヒデェな」

「ネイルアートよ。知らないの?」

「知ってるけど、ここまでは酷い。さっきのチャラ男と大差ねぇよ」

ムッとした。
この可愛いさが分からないなんて…
だから彼女が出来ないんだよ!

タバコを吸おうと箱を開けると、最後の1本だった。

「タバコ買いたいんだけど、さっきのコンビニまで戻らなきゃダメ?」

これ吸えないか?
そう言って隆也がテーブルの上に、タバコをポンッと置いた。

「ごめん隆也。コレ軽すぎて…やっぱり買いに行く」

「俺が行くから、待ってろ」

そう言って出ていった。


アタシのタバコの銘柄は、隆也が吸っているのと同じだ。

隆也が吸ってるのと同じ物に変えたのだ。

最初はキツくて、1本吸い終わる頃には頭がクラクラしていた。

今ではコレ以外に吸いたいと思わないが、いつの間にか変えていたようだ。

ショックというより、どうして変えたのか気になった。


さすがにビール5本は酔いが回ってきたかな…
一気に眠くなってきた…

左側のドアを開けると、そこは寝室だった。

『もう…限界…』

そのままベッドに倒れ込んだ。


< 5 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop