Re:今でも君が好きです。


美紀と離れてから、どの位歩いただろう。



どうしても美紀のウェディングドレス姿が見たくて、何度も教会の周りを歩いた。

美紀ならどんなドレスを着ても綺麗で、きっと誰よりも一番輝く笑顔を…






ふと立ち止まった俺の耳に教会の鐘の音が聞こえた。

日が昇り、眩しい朝焼けに目が眩む。




『今日は結婚式日和だなぁ…』


呟いた言葉に返事はない。

当たり前の事だけど、でも独り言を呟く程に温かい陽射しが降り注いでいる。




~♪~♪~♪~

こんな日に似合う、明るい着信音が鳴る。



『病院抜け出して来たから、母さんかな…

 やべぇ~』


相手は母さんだと思ったから、ディスプレイも確認せずに受信BOXを開く。









《今日はありがとう。

もう会えないと思ってたから…会えて嬉しかった。

最後に拓哉君に聞きたい事があるの。


拓哉君は今でも私の事を好き?》



送信先は意外にも美紀だった。



美紀からの質問。
今更、俺の答えを聞く必要もないのに…




『ば~か』

結婚する女が、聞いてくんじゃねぇよ。
世界で一番幸せになろうとしている、そんな女が…


分かりきっている答えを聞くなよ。






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