マスカラぱんだ


**葵**


何でだ?

どうして僕が、弟と同じくらいの年の女の子に、こんなにドキドキしなくちゃならないんだ?

自分の顔が、赤くなっているのを実感した。

公園からの帰り道。彼女の姿を頭に思い描きながら足を進める。

スラリとした長い手足に、サラリとした長い髪。

そしてパンダになった泣き顔に、可愛いすっぴんの素顔。

あの子は碧の彼女なのか?でも碧とスるのを嫌がっていたし。

最近の若い子はわからん。

あ。まただ。

僕は自分がどんどん、おっさん化しているのに気が付く。

さっきも彼女に、説教染みたことを言ってしまったし。

日常の忙しさに流されて、このまま歳を重ねて、それから?

それから先が僕には見えない。


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