君色デイズ
「関係、あるでしょう…」

「ねぇって。」

「紗彩様は景雅様のフィアンセであるとお聞きしました。」


彼は自分のフィアンセであると彼女は言った。
それがずきずきと胸に突き刺さるんだよ。
あたしの言葉に、景雅様は小さく息を吐いて、続けた。


「そんなの知るか。それはあいつとあいつの親が勝手に言ってるだけのことだ。俺は自分の結婚相手くらい、自分の目で見て自分で選ぶ。」


フィアンセじゃない…

強く、はっきりとそう言い放った景雅様が、今、何を考えているかはさっぱりわからなかった。

婚約者なんかではない、それが本当であればその事実に少しだけ胸が軽くなった気がしたけれど、かすかに見えた希望を振り払うように首を振る。

フィアンセじゃないからどーだっていうの。
あたしはこれ以上望んではいけない。そう自分に言い聞かせた。





【07*END】
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