夜獣-Stairway to the clown-
参:「気にしちゃいない」
夢は見ない。

夢の仕組みもわかったものでもない。

レム睡眠やノンレム睡眠と言われた所で理解できない。

昨日の一晩で、随分と自分の見る世界観が変わったような気がする。

雪坂からの激白、信じることを未だためらっている。

僕にそんなことを話してどうするつもりなんだろうか?

新しい軍団でも作ろうとしているのではないかと思う。

あの雪坂がと思うところだけど、雪坂のことはあまり知らないし、会ったのも最近だ。

本人曰く500年以上も生きてるといい、その500年の間に何らかの行動は起こしてもいいはずだ。

じゃないと、誰かにそんな話はしない。

「500年以上か」

祖先が長生きするならば、子孫はどうなのだろうか。

子孫まで長生きするならば、死なない限り子孫で埋まってしまうだろう。

寿命は人並みなのかもしれない。

しかし、子孫とくれば、雪坂はすでに子供を産んでいるということになる。

宇宙人と結ばれた人間がいるわけだ。

それに嫌悪感は抱かない。

愛なんてものは知らないが、好きならばそれもいいだろうと思う。

考えにふけっていたものの平日だということに気づく。

時計は昨日の夜直したから時間に余裕はあった。

今日は遅刻することはなさそうだった。

ベッドから立ち上がり、ゆったりと制服の上下を着用する。

今日もまたおかしなことが起こるのかもしれないと思うと、少し憂鬱になる。

「面倒くさい」

カバンを持ち、階下へと降りていく。

アキラの姿はリビングにはなく、昨日は徹夜したんだろうということはすぐにわかる。

それが勉学でという話は全くない。

昨日と同じく、パンを焼きそれを食す。

TVをつけようかとも思ったが、外の新しい情報を頭に入れる気にはならなかった。

最後に牛乳を飲み干すと、家から出る。
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