そして明日は
蓋を開けてみるととにかく詰め込んだようなお弁当だった。白米に焼き鮭、出汁巻き卵とお煮しめ、さらには海老とししとうの天ぷらにお新香付き。

母親は年の割によく食べるが昔から太らない体質らしく、未だにジムに通ったりテニスをしたりと活発だ。

母親の弁当箱はみるみるなくなっていった。


一通り食べた後にもう一度お茶を入れるとまた始まった。


『あなた達もう3年になるのよねぇ。幸平さんもまだ子供はいらないの?』

『幸平さんはようやく仕事が安定して楽しくなってきたっていってるのよ。あたしはまだ若いしまだいらないわよ。』

『あなた1人でずっと家にいるんだから、子供位いてもいいじゃない。』

毎度の事だ。
いくらいってもわかってくれない。


プルルルッ・・・・
母親の話をそらしたくて一目散に電話にでる。

『はい、小嶋で・・あっはい。お母さんご無沙汰してます!はい、ありがとうございます。はい、ではお元気で。』


受話器を置いた途端に母親から言われたのは、いつも義母から電話を受けるのではなく私の方からかけろという事だった。

この生活を人は不幸せではなく幸せと呼ぶだろう。

3年前も3年後もこれからも幸せだと。

私の人生だって、お弁当のように誰かに蓋を閉めてもらって静かに終わりにしたい。


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