Frist time



入学式当日は見事に晴れた。入学式の日に天気悪いとか、最悪だもんな。
今日は両親も出席するため、朝から家中がバタバタと騒がしかった。
一番落ち着いているのは当の本人だ。部活に参加していたから新しい校舎でどきどきする、っていうこともないし、地元の高校と言うだけあって、同じ中学に通っていた生徒の多くが入学するし、友達の面でも苦労する気もしない。


俺が通う高校は自分で言うのもなんだけど、勉強面ではレベルが低い。でもその代わりにスポーツが盛んで、かっこいいと評判な紺色の学ランが人気をよんでいる。そこそこの進学校に行きたい人は電車で30分程かかるところに行くか、さらに高いレベルに行きたい人は電車で1時間はかかるところに進学している。
そう、俺らの地元はかなりの田舎なんだ。



部活に参加してはいたものの、制服に袖を通すのは初めてで、鏡に映る見慣れない自分にほんの少し緊張した。
中学の制服はありきたりな黒の学ランだったけど、色と少しデザインが変わるだけで全く別物に見えるもんだな。

入学式だからいきなり着崩すわけにはいかないけれど、これくらいはいいよな、と思ってパンツを少し下に下げて履いた。






学校へ着くと、入り口付近に人混みがあった。
両親に待っているように伝えて人ごみの中に近づいてみると、クラス発表の掲示板があった。
俺はどこかなーと1組から順に目で追っていると、


「よぉ!翔!」


声がした方に振り向くと、俺と同じようにバスケ部に推薦入学して、すでに仲良くなっていた亮が声をかけてきた。
ちなみに、昨日の部活で俺が遊びを断った奴な。


「おーおはよ。
お前はもう掲示板見たのか?」


「見た見た!
俺とお前、一緒だったぜ!」


すごく嬉しそうに目をきらきらとさせながらそう言ってきた。亮のお尻に尻尾が見える気がするのは気のせいか?
そんな亮の性格を春休み中に知っている俺は、口の端を意味ありげにくいっとあげて、


「まじかよ。最悪ー。」


にやりと意地悪に笑ってみせる。
すると亮は案の定すごく悲しそうな顔をして、俺の肩にどすっと飛び乗ってきた。


「なんでそんなこと言うんだよー!このやろー!」


亮はこの通り、いじられキャラってやつなんだけど、性格に裏表がなくてとってもいいやつだ。いや、これで裏があったらびびるけど。まあそのおかげで俺たちはすぐに仲良くなった。
亮は笑うと見える八重歯がチャームポイント。


両親にクラス発表があったことを伝えて、亮と一緒に会場へと向かった。




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