Frist time




でも、宏は宏なりに、もがきながらも前に進もうとしている。
なのに俺はなんなんだ?中途半端もいいとこだ。

2人がお互いのことを好きだからって、2人のせいにしてこれ以上梨華ちゃんに近づかないようにしてた。
これじゃ、だめだよな。宏は覚悟を決めたんだ。




バンっ!!


「なっ・・・痛った!」



俺は宏の背中を思いっきり叩いた。


「宏にしては、頑張ったじゃん?」


わざと嫌味に聞こえるように言ってやった。にやりと笑うのももちろん忘れずにつけて。


宏はすごく驚いた顔をしていたけどすぐに顔を歪ませて、


「ありがとな!」


泣きそうな、だけどやっぱりかっこいい笑顔を溢した。





そんな宏に笑いかけたあと、真面目な視線を宏にぶつけた。


「宏が覚悟決めたなら、俺も本気でいくから。」



言うだけ言って、ベランダを後にする。

これは、俺からの宣戦布告だ。今まではどうしても踏み切れなかったけど、そういうのは全部捨てる。本気で奪いにいく。

俺の本気、伝わったよな、宏。手加減なしだ。







< 56 / 154 >

この作品をシェア

pagetop