私の隣の狼さん。
第一章

雛乃side1

 






「えー、という訳で。
 入学模試で一番よい点数をとった坂口と西野に
 学級委員をやってもらうことにするぞーいいかー」


はーいと答えるクラスメートの中で、
目を大きく開けている自分は今、酷く浮いていると思った。


坂口。確かに先生は私の名前を呼んだ。
雛乃までとは言わなかったけど、坂口という名字の人はこの1年2組の教室に1人しかいない。
そう、それが私。
坂口雛乃のことだ。



どうしよう、なんだかもう決定しちゃった雰囲気だし
高校生になって初めてのHRも終わっちゃったし
周りの子皆帰ってるし。


春なのに、まるで自分だけ吹雪の中突っ立ってるみたい。
友達もいない。喋る人もいない。
通っていた中学校から遠く離れたこの東高校に今日から通うことになる同学年の子の中で
私が知ってる子なんて1人もいなかったし。


隣の席の人が、その同じ学級委員になった西野って男の人らしいけど
入学早々いないし。


とりあえず帰ろうと思い、机の横にかけておいた鞄を持って立とうとしたら
後ろから、ポン、と先生に肩を叩かれた。


「坂口、お前まだ帰るなよ」

「えっ、なんでですか」

「学級委員だろ?入学早々悪いが仕事だ」

「え」


えぇ?!




 
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