初彼=偽彼氏


「……珍しいね、姫ちゃんが注意されるなんて」


「―――……っあ、そうかな」


 教室掃除をしている最中に、同じ掃除班のさゆに話し掛けられたけど、それに全く気付いかなくて、少し返事が遅れた。


「……どうしたの?そこまでボーッとするなんて」


「……あたしそんなにボーッとしてたの?」


「うん。姫ちゃん授業中にあんなに注意されたの初めてでしょ?――先生方も心配そうな顔してた」


「……まぁ真面目に授業を受けていれば注意なんてされないか」


「……今日の6時間目、数学だったでしょ?修斗[シュウト]先生すっごい心配してた」


「そういえば"お願いだから、ちゃんと授業を受けてくれ"って修斗先生に言われた」


「修斗先生、スゴい生徒思いって有名でしょ?だから一人でもそういう生徒見かけちゃうと心配で仕方ないんじゃないかなぁ?」


「――そうなのかな?」


「そこの二人!手ぇ動かしながら話してっ。サボらないっ」


「「はは、はーぁいっ」」


 同じ班の子に注意され、話すよりも掃除が優先のため、掃除をせっせとやり掃除を終わらせたあと、


「今日どっか寄ってく~?」


 といつものメンバーと廊下でそんな会話をする。


< 41 / 59 >

この作品をシェア

pagetop