妖魔06~晴嵐~
再び、メトロディアナの心の中。

メトロディアナの攻撃は吟を追いながらも、破壊していく。

「ストーカーは犯罪アル」

しかし、攻撃を当てる事が出来ないのは吟が一番理解していた。

一部であったからこそ、分かっていた事だった。

「ん?」

回避した後に、体に何かが降り注ぐのを感じた。

「そうアルか」

自分に何の力が注いだのかを瞬時に理解する。

それは、自分が全てだった頃の力だった。

「郁乃、お前の娘はお前が施した封印を解いたアル」

吟は動きを止め、メトロディアナに向けて走り始める。

「ま、お前を倒すのは誰だっていいアルよ」

瞬時に懐に入り、突き出した腕がメトロディアナの防壁を破る。

そして、胸に腕を突き刺し、メトロディアナの中から何かを引き出した。

「え?」

引き抜かれたのは、融合したはずの葉桜丞だった。

吟は丞を引っ張り、メトロディアナとの距離をとった。

「俺は、確か」

「お前の妹のわがままで、お前があいつを倒す事になったアル」

「ちょっと、待て、話が見えてこないんだが」

葉桜丞は混乱していた。
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