魔女が涙を流す夜~リンドブルムの剣~
「・・・・前にも言ったけど、
アタシ、人間のオトコで、
すごく愛したヒトが居たんだぁ」
どこか遠くを見つめて、エオスは呟く。
「・・・・好きで好きでたまらなくて、
アタシは彼を連れ去った。」
「本当に好きだったから、神様
・・・・すごくえらいヒトに・・・・頼んだの。
彼を【不死】にしてくださいって」
オトコを相手にすると、彼女は魔女になる。
美しい、悪魔に豹変する。
「昔から、好きなヒトが出来ても
連れ去っても、先に死んじゃうでしょう?
皆、寿命があるから。
だから、アタシ頼んだんだ」
でも、本当の彼女は真っ白で子供で
やっぱり思うままに動いちゃうだけ。
「・・・・だけど、バカ。
アタシ本当に馬鹿でさぁ、
【不死】とは頼んだけど、
【不老】は頼んでなくってさぁ・・・」
ククク、と笑みを零す。
「どんどん老いていくの。
アタシを置いて、どんどんどんどん。」
私は、知ってる。
「もう、彼がどうかも分からなくて
私は他のオトコのところへ行ったの」
彼女が、とても、弱い事を。