隣人は変人です


"とんとんとん"
"とんとんとん"

来た。
今夜も来たよ。

"どんどんっ!"
"どんどんどんっっ!!"

「春花ちゃ~ん。シカトしないでよ~。入れてぇ。中に入れてぇ。春花ちゃんの中に入りたい~。気持ち…」

"ガチャ"

私はそれ以上言わせないようにドアを開けてしまった。

「ドウゾ。セクハラオヤジサン」

「春花ちゃん、何で怖い顔してるの~? カタコトじゃなくて、ちゃんと挨拶して欲しいな」

首を傾げるな!
お前は乙女か。

うるうる、キラキラな目で見つめられると…

あぁ。駄目だ。
今夜の私もヤツの思うツボらしい。

「いらっしゃい。葵ちゃん」

「うん。おじゃまします」

「あ~あ。
今夜も入れちゃった」

「えっ?入れてもいいの?春花ちゃんの…」

"ばこっ"
殴ってしまった。

あはは。あはは。
もう笑って済まそう。

誰かこのセクハラ親父を止めて下さい。

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