幸せの在りか
第一章
1.熱
ガタン…ゴトン…
電車に揺られること、数十分…。
下りの急行列車に乗って、目的地へ向かっていた。
吊革に捕まって、窓の外を眺めていたけど。
気分が悪い…。早く駅に着かないかな。
嫌な汗が額に滲む。吊革に捕まった腕に頭を乗せて、
誰か…。席、空けてくれないかな…。
と思ってみても、そんな事あるはずもなく。
その時、電車が駅に滑り込み、慌ててホームに降り立った。
目の前が真っ白になって何も見えなくなった。途端、意識が途切れた。
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