隣りのお兄さん
引っ越し
ボクの名前は佐賀優平。
この春から大阪の大学に通っている。
兵庫県の北部からはるばるやってきたボクは、大阪市内にある大学近くの文化住宅で下宿生活をしている。
なんといっても、古い文化住宅。
ボクは一人っ子なのでなんとか大学へ通わせてもらっているが、実は実家がとても貧乏。
最近よくあるキレイなマンションのようなところを下宿先になんてとても選べない。
だから、この文化住宅へやってきた。
ところが、想像を絶する以上にボロ。
2階建ての1階に住んでいるんだけど、畳は波打っているしよく見ると壁も隙間があって、ちょっとだけだが東隣の部屋が見えている。
西隣に至っては、大きな穴すらある。
「参ったなぁ……こんなにボロなんて……」
なんとか贅沢して買ったCDプレイヤーも、夜はあまりかけることができないなぁ……とか、そんなことを思いつつ今日届いた荷物の整理を始めた。
夕方5時。
ある程度片付いてきたので、ちょっと隣に住んでいる人に挨拶に行っておこうと思ったボクは、母親に手渡された地元のお土産を手に、東隣の部屋へ向かった。
大家さんによると、1階にはボクと東隣の部屋の人しか住んでいないらしい。
1階に3部屋、2階に3部屋あるが2階にも1人、住んでいるだ
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