はじめてのCHU

りんご


その時、誰かがグラウンドの重い扉を開ける音がした。

「よっ。遅くなってゴメン」

春岡先輩だった。

あぁついに来てしまった…。

春岡先輩は私の隣に腰を下ろした。

「……………」
「……………」

しばらく沈黙が続いた。

どうするよ、この状況!!


…………


沈黙を破ったのは春岡先輩だった。

「俺、今日の試合。絶対変えないでくれって監督に頼んだんだ。」
「監督が…話しているのを聞きました」

「そうか。………俺な、結構諦め早くて、ああなるといつもなら試合投げ出してたところなんだけど、頑張ったんだ。…試合に勝ったらりくとキスが出来るってね」

「…そう…だったんですか……」

何か嬉しいな。そう言ってもらえると。

どうしよう。


キス……しちゃおっかな……。


でも………。


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