とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
数日後のクリスマスは家族5人で祝った。
忍は去年ひとりで奮闘していたご馳走も今年は親子で仲良く楽しそうに作っていた。
右京は師範と叔父の晩酌に付き合っていた。
イギリスでは18歳で成人と言う考えが一般的だ。
叔父は日本の法律を忘れてしまったかの様に右京のグラスにビールをガンガン注いだ。
「で、友達はいつ来るって?」
「明後日かな?こっちで年越しをしたいらしいよ。」
「わしは英語話せんけど大丈夫じゃろうか…」
「叔母さんが居るし大丈夫だろ。」
そんな話をしていると料理を運んで来た忍は「大丈夫かな…」と心配そうな顔をした。
「イギリスの人って背高いでしょ?」
「ジェイは俺より10cm位デカいかな…」
「…巨人の様じゃな…」
「…天井スレスレなんじゃない?」
「まぁ、暴れなければ大丈夫だろ。」
「右京でさえ時々頭ぶつけるのに?」
「大丈夫だ!日本の家は意外に丈夫に出来てるんだぞ!」
そう言って豪快に笑う叔父に忍は「そうじゃなくて…」と半眼になった。
「…忍…何言ってもこの酔っ払いには無駄だよ…」
呆れて言い放つ右京に叔父は突然絡みだした。
「誰が酔っ払いだ!まだ酔ってないぞ!
お前こそ全然飲んでないんじゃないか!?」
「もう充実飲んだよ…」
右京は溜め息混じりにそう言うと、ビールの空缶を片付けた。