とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~

日常(右京の場合)





カーテンの隙間から差し込む朝日にまどろむ。


まだ夢の続きを見せてくれ…と思ったその時、隣の部屋から聞こえて来た爆音で飛び起きた。


「…またかよ…」


黒崎右京は寮生活で頻繁にこうやって起こされる。

それも隣人のマイクこと、マイケル・スタイナーの仕業である。

トランクス一枚で部屋を出ると隣の扉をノックもなしに勢い良く開けた。

ズカズカと入って爆音の原因であるオーディオのスイッチを切った。


『Hi!クロウ、お目覚めかい?』

『Hi!マイク…って朝っぱらからうるせーんだよ!』

『今日はご機嫌斜めだね~
可愛い顔が台無し…。』

悪びれた様子もなく金髪をかきあげてステップを踏んだ。


右京は溜め息を付くとマイクのルームメイトのジェイク・ハミルトンに向き直った。


『ジェイも甘やかすな!』

『そうカッカすんなよ。俺はR&Bは好きだ。』

『聞いてねーよ、そんな事!』


そう言って右京はその黒人のスキンヘッドをベシッと叩いて部屋に戻った。


寮に来て4ヶ月、以前この部屋にいた学生は隣人の嫌がらせ(ただの悪ふざけ)を理由に出て行ったとか…



右京は自分のルームメイトがまたいないのに気付いた。


アラン・スミスという男は実に勘のいいヤツだ。

隣人の悪戯の数々をうまくかわしている為、前の住人のように耐えられないという事はないようだ。


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