意地悪な君の彼女は大変
彼氏
「いや…これにはワケが……」
ミーンミーンと虚しく蝉が鳴る。
そして、いまのあたしも虚しい。
「“謝罪”という名の“言い訳”を聞きましょうか」
そう言うと、彼は長い足を組み直して、にっこり微笑んだ。
普通の女の子だったら、鼻血流出しながら失神するだろうけど、
あたしには、悪魔の微笑にしか見えない。
できれば、そう見えたくなかったんだけど………。
「葉月(はづき)、言えないの……?」
彼は、黒いオーラをはっしながら聞いてきた。
じ、尋問・・・・・・・?
それとも、恐喝・・・・・・?
「馬鹿なこと考えてないで、言え」
もう、優しくするのが面倒になったんだろう。
命令口調に変わってしまった。
「じ、実は……―――――――」
尋問か恐喝か判らないけど、ことの発端は数時間前に遡る――――――――――