おたく王子
乱暴



「同じ中学って・・・アンタと是人が・・・?



朝日は思わず緑に聞き返した。


確か眞子ちゃんの話だと是人って高校入学に合わせて他の県から越してきたって・・・。


「うん。だって俺もN県出身でこっちに越してきたんだもの。是人くんの方が先に越してったけどねん」


緑は椅子に跨がってガタガタ揺らしながら話している。

朝日は床に横たわったままの姿勢で緑を睨んでいた。

「同じ中学だったからどうしたってのよ。顔見知りなのに何でこんなことするの?」


責めるように話す朝日を、緑は椅子に跨がったまま見下ろす。
にやにやと面白がるような表情をしている。

緑は朝日の質問を無視して朝日に尋ねた。


「ねぇ、朝日ちん。是人くん、なんでわざわざ引っ越したと思う?」


「え?」


「俺の場合はおとーさんが転勤になったもんでさぁ。仕方なく付いてきたのね。でもぉ、是人くんちは転勤とかそうゆうんじゃないわけぇ。ははは!」


緑は耳障りな笑い声を上げる。


「・・・そんなの何か家の事情とかがあったに決まってるじゃない」


朝日が反論すると、緑は人差し指を立てて朝日に向けて言った。


「"家の"、事情だと思う?」


「・・・?」



朝日は緑の言っている意味がわからない。



「"是人くんの"、事情だとは思わなかった?」



「何、言ってるの・・・?」


朝日は戸惑った。


さっきからの緑の言葉から、是人の何かを知っている様子だ。



"是人の転校"にまつわる何かを。




なに?



是人が転校してきたのってなにか特別な理由があるの・・・?




・・・でも。



「なんでアンタがそんなこと知ってるのよ!?」




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