彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
住宅街を抜けて
線路横の車道の端を歩く。


なんとなく…

自転車と原付の割合が
すごい多いなぁ。


オバチャン、オジチャンの
自転車を避けるように車が走る。


大きなグラサンをかけた
若いお姉さんが

シールでデコられた原付で走る…


たこ焼屋とコンビニの数が
半端ない。


レンガ色の電車が
踏切の中を走り抜けた。

電車が去ると…

『あ――!!!太一と直樹くんだ―』


踏切の向こう側に
制服の小春ちゃんがいた。


踏切が上がると
小春ちゃんは嬉しそうに
駆けよって来た。


2つに結われた髪が
ポンポンと揺れる。


『出かけるん―??』

ニコニコして聞く小春ちゃん。


なんか
子犬みてぇだな。

いや…
子犬っていうよりは
ヒヨコっぽいか。


昨日の今日にして
すっかりなつかれた感じ。


太一くんが言い放つ。

『相変わらずテンション
うざいで』

『うっさいッ』

小春ちゃんは膨れる。


『直樹くんに迷惑かけんなよな』

小春ちゃんは俺の後ろに隠れて
アッカンベーをした。


『太一くんの方がお兄さんみたいだなぁ』


俺が笑うと
小春ちゃんは頬を染めた。


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