彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
モデルをしながら
窓の外に目をやる。


緑が眩しい。


蝉の声に混じって
遠くの運動部の声が聞こえる。


つい最近まで
俺も高校生だったのに。


なんだかすでに
懐かしい。


大学も楽しいけど
高校ってやっぱりなんか
特別だよな―…。


少なくとも俺は。



1日中
教室でダチと過ごして


馬鹿やったら
怒ってくれる先生がいて。


放課後は部活やって
帰りに買い食いして…。



毎日それが
当たり前だったけど…



この環境ってかなり凄い。


今、離れて初めて
その日々の輝きがわかる。


どんなに貴重だったか…。


イーゼルをたてて
俺をモデルに絵を描いてる
小春ちゃん達を見る。


さっきまで騒いでのに
どの子も目が真剣だ。



大学は自由で―…

本当に、自由過ぎて。


最近は流れるように
ただ日々を過ごしてた。



でも、きっと大学も
後から考えたら
すげ―貴重なんだよな…。


小春ちゃんが今日、
俺を高校に

連れてきてくれて
良かった。



当たり前のことだけど
気付けて良かった。




< 33 / 90 >

この作品をシェア

pagetop