彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
振り返ると


小春ちゃんは浴衣を着ていた。


ピンクと黄色の
淡くて可愛い浴衣。


『……ど―う?』


モジモジする小春ちゃん。


小春ちゃんの
欲しい言葉はわかってる。


『…花火大会っぽいね。』

分かってて
俺はわざとからかう。


『えぇ―?』


不満そうに口を尖らせる
小春ちゃん。


予想通りだけど可愛い。


『くくく…』

笑いをこらえると


パシャッ!


『わっ…!』


いきなりデジカメで撮られた。


『………』


またこいつは…


俺が小春ちゃんを見ると

小春ちゃんは
満面の笑みで画面を見ていた。


嬉しそうな笑顔。


まぁ……
今日ぐらいは許すか。



ちょうどホームに
レンガ色の電車が入ってきた。


俺は小春ちゃんの手を
さりげなく取る。


『!!ひゃあっ…』


いちいち騒ぐ小春ちゃん…。


『…この電車乗るんだろ?』


『はっはひ…』


そんなされると
俺まで照れるし…。


取った手の指を絡めて電車に乗り込む。


< 59 / 90 >

この作品をシェア

pagetop