彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
教師かぁ…


じつは
大学では教員資格が取れるように講義は取っていた。


資格が取れるなら
無いより有った方が良いから。


ただ
その講義を全てこなすのは

かなりハードでサボり気味だったし、いっそ単位落として資格を取れなくても良いと思っていた。


講義を捨てても
教員資格が取れないだけで

年間の単位としては十分に
クリアできるから。



だけど…

『教師かぁ…』


この夏、太一くんと過ごして
感じていた。


教えることの楽しさ。

信頼を得るよろこび。


俺は感じていたんだ…。


俺は小春ちゃんを見た


『俺、本当に向いてるかな?』


小春ちゃんは
自信たっぷりに言う。


『直樹くん絶対に先生なれるよ』


満面の笑みで笑う小春ちゃん。


『あ…もしかして今、直樹くんの夢になったぁ?』


『はは…まぁそんな感じかな』


俺の苦笑いに
小春ちゃんの瞳が輝く。

『うひゃ!良かったねぇ…。
絶対大丈夫だょ―』


無邪気に笑う小春ちゃん。


なんの根拠もないくせに。

教員の倍率とか知らないだろ?

講義だってマジで単位
間に合うかどうか…


でも

…なんでかな。


小春ちゃんが言うと
すべて大丈夫に思える…


遠距離のことも。

夢のことも。



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