オフィスの甘い罠
話の合間にあたしが
ポソリと挟んだら、柊弥は
驚いたように目を丸くして、



「は? 好きかって――
そりゃ当たり前だろ、
家族なんだから」



本当に、ごく当然のことを
話すようにそう言い切る。



――『家族なんだから、
当たり前』――…。



あたしにはピンと
こなくて、チクリと
胸に痛い言葉だった。



だからなんて返事すれば
いいかもわかんなくて、



「ふぅん……そう」



そんな曖昧な言葉を返して
――あたしは黙り込む……。




楽しそうに郁実クンの
ことを話す、柊弥の笑顔が――


あたしには少し、
まぶしかった――…。





     ☆☆☆☆☆



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