オフィスの甘い罠
「……………」



書類を作るためにキー
ボードを叩いても、伝票の
整理をしようとしても。



どれだけたっても、
ちっとも頭が仕事に
集中してくれない。



(―――どうしちゃった
のよ、あたし――…)



思わずキーボードにバンッ
と両手を振り降ろしたく
なったけど、かろうじて
思い止まった。



……そんなことしたって、
別になんの意味もない。



それに、本当は集中でき
ない理由なんて最初から
わかってる。



そう――それは昨日の……
ううん、厳密に言えば
今日の早朝までの。



柊弥と過ごしてた時間が、
頭を離れないからで――…。



(なんでよ……。

あんなにしっかり
シャワーも浴びたのに、

まだ、肌に感覚が残ってる
ような気さえする……)
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