オフィスの甘い罠
「え―――……」



あたしは――その言葉の
意味が理解できなくて、
ロボットのように動きを止める。



そんなあたしを、柊弥は
鋭い光の宿る目でまっすぐ見た。



そして続けて、



「まさかこんな所で再会
できるとは思ってなかったぜ。

《紫苑》は《梓》の仮の
姿ってわけか。

イヤ……もしかしたら逆かな?」



「――――――!!!」



目の前が真っ白になった
ような錯覚。



むき出しの心臓を氷で
撫でられたみたいな感じがした。



(ウソ………。

気づいて……たの……!?)



「っ…………!」



声が出ない。



シラを切れば済むのか、
もうごまかしようもないのか。



とっさに判断できなくて、
どうしていいかも
わからなかった。
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